母乳育児をしたい場合は、お子さんがNICU(新生児集中治療室)に入院したら搾乳が必要になります。
産んだら自然に母乳が出ると思っている方が多いのですが、それはある程度の話で、やはり母乳を出すための刺激が産んですぐのからだに入らないとなかなか母乳の量は増えないのです。
最近では、産んで1時間での搾乳スタートが推奨されています。
遅くても6時間が理想的。
でも、なかなかそれって大変です。
産後のからだの不調に加えて、子どもと離れた寂しさ。
してあげられることが搾乳しかないと頑張れる方と悲しくて辛くて搾乳をする気力も湧かない方と色々ですね。
すぐに搾乳スタートが大切と知らないまま数日が経過してしまう人も多くありません。
妊娠中に子どもの病気などが分かっていなくても、お産とは何があるか分からないもの。
だからこそ、万が一にもそんな必要があるということを全ての妊婦さんとパートナーに知っておいてもらいたいと思います。
搾乳は、回数が必要なことが大変です。
新生児の時期、赤ちゃんは1日に8〜12回くらい母乳を飲みます。
つまり、母乳を増やしていくには、それと同じくらいの回数の刺激がからだには必要ということ。
搾乳も母乳量が増えるまでは1日8回は頑張って欲しいところ。
1日5回では必ず減少していくと研究的に言われているのです。
準備して、片付けまで両胸同時に搾乳できる搾乳器を使っても30分はかかる。
次の搾乳はあっという間にやってくるので、上の子がいる場合などは本当に忙しくなります。
日本で手に入る病院グレードの搾乳器は今のところメデラ社のシンフォニー。
やはり両胸同時の搾乳は、母乳を作るホルモンであるプロラクチンの出が良いのでNICUに入って母乳を頑張りたい方にはおすすめです。
手で搾乳した方が良いという医療者の意見もまだまだ多く聞こえてきます。
確かに桶谷式の手技をしていても胸の組織的には良いだろうなと思うことはあります。
でも長くNICUで働いていて思ったことは、手での搾乳は、よほど手搾りが上手くて分泌が良いタイプの方しか母乳の量が増えないということ。
多くの方が、うまく搾れず、量が増えないまま、時間と共に減っていく・・そんな姿をたくさん見ました。
兎にも角にも、NICU搾乳生活は長くて大変。
早期からの開始、搾乳方法の習得、回数の多さ、継続・・・
伴走して乳房ケアと共にモチベーションを支える、そんな存在が本当に大切。
1人で搾乳頑張っている方は、ぜひ桶谷式の乳房ケアを試して欲しいと思います。